接着歯学
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接着性レジンセメントの新しい破壊靱性試験法
渡辺 康廣戸室 政之小松 繁樹畑 好昭
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2004 年 22 巻 2 号 p. 87-96

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抄録

接着性レジンセメントの破壊靱性を評価するために, Notchless Triangular Prism Method (NTP) を応用した破壊靱性試験法の改良型プリズム (接着プリズム) とその接着間隙条件について検討を行った.被着体としてSUS304を, 接着材料としてパナビアフルオロセメント (PV) とスーパーボンドC&B (SB) を用い, メタル-接着材料-メタルで構成される接着プリズムを考案した.これを用いて接着間隙 (0.5, 1.0, 2.0mm) の影響と破壊現象の解明ならびに, 破壊面解析と最大破壊応力値 (Pmax) について検討を行い, 以下の結論を得た.
1. 接着プリズムのNTPへの応用は, 接着強さを評価する新しい破壊靱性試験法として有効である.
2. 接着間隙によって破壊現象に違いが生じ, 0.5mmの接着間隙では界面破壊が, 2.0mmでは凝集破壊が認められた.
3. 接着間隙0.5mmのK1cはSB (1.34±0.07MPa・m1/2) とPV (1.27±0.08MPa・m1/2) で有意差はなかった.
4. PV20 (接着間隙2.0mm) のK1c (1.14±0.09MPa・m1/2) は, PVP (PV製NTPプリズム) のK1c (1.15±0.12MPa・m1/2) と有意差はなかった.

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© 日本接着歯学会
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