日本緑化工学会誌
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論文
生育立地の違いがアカマツ(Pinus densiflora Sieb. et Zucc.)樹体における水利用調節に与える影響
三木 直子梅田 明宏坂本 圭児西本 孝吉川 賢
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2004 年 30 巻 1 号 p. 104-109

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抄録

生育立地の違いがアカマツ(Pinus densiflora Sieb. et Zucc.)樹体の水利用調節に与える影響を明らかにするために,土壌水分が変動する際の葉,枝,および幹の諸機能について調べた。その結果,乾性な条件下で生育する斜面上部の個体は土壌の乾燥に対して,主に枝部の通水抵抗を調節して気孔を閉じ気味に保つことが示唆された。また,その際に枝および幹部の貯留水の利用が,通水抵抗の高さにより生じる一時的な水欠差を斜面下部の個体よりも相対的に高く補償していると考えられた。一方,相対的に湿潤な斜面下部に生育する個体は,常に気孔を開いており,土壌の乾燥に関わらず,活発に蒸散活動を行うことが示唆された。

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© 2004 日本緑化工学会
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