心電図
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5.長期治療におけるソタロールとアミオダロンの使い分け
鎌倉 史郎里見 和浩須山 和弘清水 渉栗田 隆志相原 直彦
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2005 年 25 巻 1 号 p. 56-64

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抄録

III群抗不整脈薬であるソタロールとアミオダロンが電気生理学検査 (EPS) や心機能に対していかなる影響を及ぼし, 再発予防効果または生命予後延長効果を有するかを, 頻脈性不整脈に対して長期投与を行った例で検討した.対象は不整脈または心不全のためにソタロールまたはアミオダロンを投与された429例中, 持続性心室頻拍 (SVT) /心室細動 (VF) に対してIII群抗不整脈薬を投与された219例 (ソタロール36例, アミオダロン183例) , 発作性心房細動 (PAF) に対して両薬を投与された61例 (ソタロール14例, アミオダロン47例) である.平均観察期間はSVTNF: ソタロール28カ月, アミオダロン39ヵ月, PAF=ソタロール14ヵ月, アミオダロン37カ月で, SVTNF例ではほぼ全例が器質的心疾患を有していた.致死性不整脈の再発率は, EPSで心室性不整脈が誘発されなかった例のほかに, アミオダロン投与下で多形性VT, VFが誘発された例で少なかった.III群抗不整脈薬投与例の生命予後は, 心機能良好例よりも低心機能例で悪かったが, ICD植込み群と非植込み群間では有意な差がなかった.致死性不整脈に対する2次予防効果は, ソタロールとアミオダロン間で差がなかったが, PAFの洞調律維持効果はアミオダロンが優れていた.本邦ではIII群抗不整脈薬投与例にEPSを施行する意義があると思われ, 低心機能例にはICDを植込まない治療法も選択できると考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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