大気環境学会誌
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レーザー誘起蛍光法によるNO3/N2O5測定装置の開発と冬季の夜間大気中の窒素酸化物による大気酸性化の評価
小杉 如央今井 秀和松本 淳加藤 俊吾梶井 克純
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2005 年 40 巻 3 号 p. 95-103

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抄録

NO3ラジカル (以下NO,) とN2O5は夜間に高濃度で存在する物質である。
NO3はモノテルペン類を始めとするVOC等と反応し, 過酸化ラジカルや硝酸を生成する。N2O5はエアロゾル表面で不均一反応を起し, 硝酸を生成する。これらの反応は夜間における重要なNOx消失反応である。
今回, 我々は新しい手法としてレーザー誘起蛍光法 (LIF法) を用いた高感度, 高時間分解能を有するNO3/N2O5測定装置を開発した。NO3, N2O5の検出下限値はそれぞれ5pptv, 7pptvである (10分値)。
この装置を用いて2003年の12月に東京都立大学 (東京都八王子市) にて夜間都市大気中のN2O5の測定を行ったところ, 100-800PPtvのN2O5が観測された。また, NOの存在下でもN2O5が存在することがわかった。
この観測の結果, 冬季におけるNOx消失反応としてNO3とVOCの反応は寄与が小さく, N2O5の不均一反応が支配的であることがわかった。N2O5の不均一反応によるNOx消失量は5.4ppbv/nightとなり, 昼間のOHラジカルを介した反応と同程度の量であった。このことから, 夜間におけるN2O5の反応は大気の酸性化に重要な役割を果たすことが判明した。

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