老年歯科医学
Online ISSN : 1884-7323
Print ISSN : 0914-3866
ISSN-L : 0914-3866
口腔乾燥感を有する患者に対する保湿剤 (ウェットケア®) の効果
伊藤 加代子浅妻 真澄渡部 守竹石 英之五十嵐 敦子野村 修一
著者情報
キーワード: 口腔乾燥, 唾液, 保湿剤
ジャーナル フリー

2005 年 20 巻 1 号 p. 63-67

詳細
抄録

保湿剤 (ウェットケア (R)) は, 口腔乾燥感を軽減することを目的として開発された保湿剤である。ウェットケアを使用することによって「かわく感じが減った」という声は聞かれるが, その具体的な効果についての報告はまだない。よって, くちのかわき外来受診者20名を対象にウェットケアの保湿効果について検討した。
試料は, 保湿剤としてウェットケアを, 比較試料として水を使用し, それぞれスプレー容器に入れた。まず使用前に「口の中が渇く」「水をよく飲む」「かわいた食品が噛みにくい」「かわいた食品が飲み込みにくい」「口の中がネバネバする, 話しにくい」という5項目について, その程度をVAS法で調べた。1週間どちらかの試料を使用してもらい, 結果をアンケート調査した後, もう一方の試料を1週間使用した結果を同様に調査した。
ウェットケア, 水のいずれも「口の中が渇く」という項目については有意に改善していた。「水をよく飲む」については, 唾液分泌低下群のウェットケア使用後のみ有意な改善が認められた。そのほかの項目については, 有意差は認められなかったものの, 改善する傾向が認められた。この理由としては,(1) ウェットケアには保湿成分としてヒアルロン酸が含まれていた,(2) 味刺激によって唾液分泌が促進された, という2点が考えられた。
以上によって, ウェットケアは口腔乾燥を訴える患者に有効であるということが明らかになった。

著者関連情報
© 一般社団法人 日本老年歯科医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top