日本臨床外科学会雑誌
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腹腔鏡診断が有用であった急性腹膜炎像を呈したFitz-Hugh-Curtis症候群の1例
坂東 功一古谷 政一清水 康仁櫻澤 信行柳 健田尻 孝
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2005 年 66 巻 7 号 p. 1766-1770

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抄録

症例は19歳女性.右上腹部痛,発熱を主訴に近医受診し抗生剤治療を受けるも改善なく,次第に腹痛増強し紹介来院.右上腹部中心に腹膜刺激症状認め,白血球9,900/μl, CRP 13.5mg/dl,胃内視鏡検査上異常なく,腹部超音波, CT検査で肝周囲に腹水認めたが肝,胆,膵に異常なく遊離ガスも認めなかった.原因不明の腹膜炎として緊急腹腔鏡を施行.右上腹部腹膜の高度な炎症,腹水,肝前面と腹膜間の線維性癒着が観察された.以上所見よりFitz-Hugh-Curtis症候群(以下FHCS)を考え塩酸ミノサイクリン投与による保存的治療を開始,速やかに症状改善した.後日,血清クラミジア抗体陽性を確認,確定診断した.外科臨床の場で女性の原因不明の腹膜炎を認めた際は本疾患も考慮し腹腔鏡検査を施行することは有用であると考えられた.

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