皮膚の科学
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症例
疱疹状膿痂疹様外観を呈した妊婦自家感作性皮膚炎の1例
谷 守佐野 栄紀堤 真理
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ジャーナル 認証あり

2005 年 4 巻 3 号 p. 240-243

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抄録

35歳女性。妊娠35週。2004年9月4日初診。初診の3週間前より下肢にそう痒性の紅斑および漿液性丘疹が出現し,掻破するうち数を増し体幹にも拡大してきた。自家感作性皮膚炎の診断のもとにプロピオン酸ベクロメタゾン軟膏(プロパデルム®)を外用したがさらに皮疹範囲が拡大した。同年10月に外用を酢酸ジフロラゾン軟膏(ダイアコート®)に変更したが,集簇性あるいは環状に配列する膿疱をともなう滲出性の紅斑が多発してきた。病理組織で表皮海綿状膿疱化をともなう好中球性膿瘍および角層下好中球膿瘍を認め,疱疹状膿痂疹の組織像に類似した。熱発等の全身症状は伴わなかった。入院のうえ硫酸ゲンタマイシン加吉草酸ベタメサゾン軟膏(リンデロンVG®)外用,塩酸アゼラスチンの内服治療を開始したところ約1週間で膿疱は消失し,紅斑も消退し,色素沈着となった。その後,ときにそう痒性の丘疹は四肢体幹に散発したものの膿疱は再発しなかった。同年11月に自然分娩にて無事健康男児を出産した。出産後も膿疱の再燃はなかった。

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© 2005 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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