西日本皮膚科
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治療
シクロスポリンMEPCの乾癬に対する有効性および安全性に関する検討(第2報)
—シクロスポリン現行製剤投与中の乾癬患者に対する切り換え試験—
原田 昭太郎五十嵐 敦之北原 比呂人中川 秀己大槻 マミ太郎朝比奈 昭彦佐伯 秀久小宮根 真弓玉置 邦彦小澤 明菅井 順一大城戸 宗男
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1998 年 60 巻 6 号 p. 842-848

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抄録

製剤的に吸収の安定化をはかるため改良されたシクロスポリンMEPC(micro-emulsion pre-concentrate, 以下MEPCと略す)について, シクロスポリンの現行製剤(SIM)を服用中の乾癬患者に対し, 同一用量で切り換えた場合の主として安全性と臨床効果について検討した。対象患者27例にMEPCの切り換え投与をおこなった。MEPCに起因すると考えられる副作用の発現率は33.3%であり, 血圧上昇が最も多く認められたがいずれも重篤な症状はなく, またシクロスポリンでの未知の副作用も認められなかった。MEPCとの関連が否定できない臨床検査値異常変動は, 血清クレアチニン値, BUNの上昇, 肝酵素の上昇などであった。これらはMEPCの減量または適切な治療により回復もしくはコントロール可能となった。総合的な評価として, 「安全である」との判定は59.3%の症例であったが, 92.6%の症例は, 安全またはほぼ安全に切り換えられると評価された。なお, SIMからMEPCへ切り換える場合, 臨床検査値, 血圧および臨床症状を十分にモニターし, 患者によっては用量の調節が必要になると考えられた。切り換え後のPASIスコアは, ほとんどの症例で不変または低下したことから, 臨床効果は切り換える前の状態が維持されるものと考えられた。以上, SIMからMEPCへ同一用量での切り換えは, その後定期的に検査データなどに留意することにより, 効果が減弱せず, 概ね安全におこなうことができると考えられた。

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© 1998 日本皮膚科学会西部支部
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