九州産スギ在来品種の成長および材質を明らかにすることを目的に, MuPS分析によるDNA鑑定で品種を同定した16品種48個体を用いて実験を行った。
各品種は, それぞれに品種に特有な成長型を示した。心材の生材含水率と心材色のL*値, a*値の品種内変動は小さく, 品種間に統計的な差が認められ, 品種固有の性質と考えられた。容積密度と丸太の動的ヤング率も品種間で異なり, 早生型品種に比べ中生型および晩生型品種は容積密度が高く, 動的ヤング率が低かった。動的ヤング率の樹高方向変動には, 地上高が高くなるにつれ増加するパターンと1番丸太が最も低くそれより上部ではやや高い値で比較的安定するパターンが認められ, 前者が中生型あるいは晩生型品種で, 後者が早生型品種に認められた。曲げ試験の荷重-たわみ線図は, 品種あるいは成長型ごとに異なった。