日本接着学会誌
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研究論文
ポリプロピレン/タルク複合材料の力学特性に及ぼすポリオレフィン-ポリアクリレートブロックポリマーの添加効果
永田 員也日笠 茂樹
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2006 年 42 巻 1 号 p. 13-19

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抄録

ポリプロピレン(PP)/タルク(平均粒子径 3.2μm)にマレイン酸変性 PP(MAh-PP),PPおよび低密度ポリエチレン-ポリアクリレートブロック共重合体(ポリエチレン;PE-diblock およびポリプロピレン;PP-diblock)を所定量添加して二軸押出機を用い複合材料を調製した。なお,タルクはエポキシシランカップリング剤(GPMS)で表面処理した。これら添加ポリマーが PP/タルクの力学特性に及ぼす影響を検討し,PP/タルク複合材料の界面構造を考察した PP/タルク複合材料の弾性率と降伏強度は PP-diblock および MAh-PP の添加量とともに増加したが,PP-diblock を添加した場合は低下した。タルクをGPMS処理することによりこの力学特性の変化は大きくなった。複合材料の衝撃強度はPP-diblock および MAh-PP の添加量増加とともに試料の衝撃強度は急激に低下した。一方,PP/GPMS処理タルク複合材料の衝撃強度は PE-diblock を添加することにより大きく向上した。PP-diblock/タルク複合材料の動的粘弾性を測定した結果,GPMSでタルクを処理することによりガラス転移温度に帰属されるtanδピーク温度が未処理タルク充填試料に比べ高温側にシフトした。この結果からGPMS処理することによりタルク表面と添加したポリマーのカルボキシ基との間の相互作用がさらに強くなったと考えられる。試料破断面走査型電子顕微鏡観察の結果,GPMS処理したタルク表面にポリマー層が観察された。PP/タルク複合材料においてタルクをGPMS処理することにより添加ポリマーが界面に存在し,その界面構造に応じて力学特性が変化することが明らかとなった。

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© 2006 一般社団法人 日本接着学会
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