日本小児アレルギー学会誌
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小児アトピー性皮膚炎の病勢評価マーカーとしての血清TARC/CCL17の臨床的有用性
藤澤 隆夫長尾 みづほ野間 雪子鈴木 由紀古川 理恵井口 光正熱田 純坂本 龍雄亀崎 佐織大和 謙二三崎 貴子末廣 豊水野 美穂子浅井 雅美清水 正己森下 雄大寺田 明彦
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2005 年 19 巻 5 号 p. 744-757

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抄録

アトピー性皮膚炎 (AD) はTh2型の炎症性疾患であり, Th2細胞に特異的に発現するケモカイン受容体CCR4のリガンド Thymus and activation-regulated chemokine/CCL17 (TARC/CCL17) が病態に関与するとの報告は多い. 本研究では小児ADにおける病勢指標としての血清TARC/CCL17値の有用性について検討した. 6ヵ月以上15歳未満のアレルギー性疾患患者140名 (AD65名, アレルギー性鼻炎32名, 喘息43名) および正常対照者62名につき, それぞれ, 血清TARC/CCL17, 血清IgE, LDH, 末梢血好酸球数を測定した. 正常対照者の血清TARC/CCL17値は, 2歳未満で有意に高値であったため, 正常上限値を6ヶ月~1才未満, 1~2才未満, 2才以上に分けて, それぞれ1367, 998, 743pg/mlと設定した. ADと喘息において血清TARC/CCL17値は, 正常対照者に比べて有意に高値であり, ADのみが重症度と有意な相関を認めた. 次に, ADにおける血清TARC/CCL17の臨床診断能を他のマーカーと比較してROC解析すると, 血清TARC/CCL17値は感度・特異度ともに血清IgE, LDH, 末梢血好酸球数よりも高かった. また, 血清TARC/CCL17値は, 皮膚症状スコアと有意な相関を示し, 治療にともなう変動 (改善) とも良く一致した. 以上の結果より, 血清TARC/CCL17測定はADの病勢を客観評価する臨床検査として有用であり, ガイドラインに基づく治療選択の一助となると考えられた.

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