心電図
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4.イオンチャネル病とK+チャネル開口薬
清水 渉相庭 武司野田 崇里見 和浩須山 和弘栗田 隆志相原 直彦鎌倉 史郎
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2006 年 26 巻 1 号 p. 20-27

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抄録

分子遺伝学的研究の進歩により, 一部の致死性不整脈疾患は心筋イオンチャネル機能に関係する遺伝子の変異によって発症することが判明し, 「イオンチャネル病」という概念が生まれた, これには先天性または後天性QT延長症候群 (LQTS) , Brugada症候群などが含まれる.先天性LQTSでは現在までに8つの遺伝子型が同定されているが, 動脈灌流左室心筋切片を用いたLQTSモデルや単相性活動電位記録を用いた臨床研究により, K+電流 (IKs, IKr) の機能低下によるLQT1とLQT2では, ATP感受性K+ (KATP) チャネル開口薬のニコランジルの有効性が主に静注薬で示唆されている.一方, Brugada症候群ではNa+チャネル遺伝子のSCN5Aの異常が報告されているが, その病態には一過性外向き電流 (Ito) に関係する右室心外膜細胞活動電位の第1相notchが関与する.このため, K+チャネル開口薬の使用や虚血時のATP感受性K+電流 (IK, ATP) 増強は, 表現型 (ST上昇や心室細動) を増悪させたり, これを顕性化させる可能性がある (後天性Brugada症候群) .

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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