日本細菌学雑誌
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病原因子としてのビブリオ属菌プロテアーゼ
篠田 純男三好 伸一
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2006 年 61 巻 2 号 p. 261-271

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抄録

病原細菌が産生するプロテアーゼには病原因子として働いているものもあり, ボツリヌス毒素のように標的部位を特異的に加水分解することによって強力な直接毒性を発揮するものや, タンパク質性の病原因子をプロセッシングして間接的に病原性に関与するものなど, 様々である。病原ビブリオが産生するプロテアーゼとしては亜鉛金属プロテアーゼとセリンプロテアーゼが知られており, 前者, 特に Themolysin family に属するものについての研究が進んでいる。中でも Vibrio vulnificus の産生するプロテアーゼは, 浮腫や出血などの皮膚症状の惹起に働く直接的な病原因子として働いていると考えられている。最近, V. vulnificusV. cholerae のプロテアーゼが種々の病原因子の調節と連携したかたちでクォーラム・センシング調節を受けていることが明らかになりつつある。ここでは, V. vulnificus を中心に病原ビブリオのプロテアーゼに関する最近の話題を概説する。

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