2006 年 5 巻 2 号 p. 153-156
48歳,女性。初診の約4ヵ月前に近医内科でバセドウ病と診断されたが,その経過観察中に顔面に蝶形紅斑様皮疹が生じてきた。レイノー現象,眼乾燥感,口腔乾燥感も認めた。口唇唾液腺組織像,眼科的検査所見,および抗SS-B抗体陽性などからシェーグレン症候群と診断した。頬部の紅斑の病理組織像において,血管および附属器周囲のリンパ球浸潤はみられたが,液状変性は認められず,また病変部のループスバンドテストは陰性であった。蝶形紅斑または蝶形紅斑様皮疹を呈した,全身性エリテマトーデスを合併していないシェーグレン症候群の報告は稀であり,またバセドウ病を合併している点が興味深いため報告した。