医療と社会
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研究論文
水晶体の単眼・両眼手術における在院日数の分析
縄田 和満井伊 雅子石黒 彩川渕 孝一
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2006 年 16 巻 2 号 p. 167-181

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抄録

 我が国においては,水晶体手術には単眼の手術を行う場合と一度の入院で両眼の手術を連続して行う場合がある。本論文では,単眼の手術と両眼の手術を行った場合の水晶体の手術における在院日数を離散型の比例ハザード・モデルを用いて分析した。手術方法の違いによる在院日数への影響を除くため,水晶体にたいする主な手術として,水晶体超音波乳化吸引・水晶体乳化・白内障の水晶体乳化吸引術・白内障手術(超音波摘出術)のデータを分析した。また,両眼施術の実施率に影響すると考えられる要因についての分析を判別分析およびトービット・モデルによって行った。
 この結果,単眼手術においては,子供であること,退院先が他施設であることの推定値が負の値で有意で退院率に影響しており,これらの患者の入院期間が長くなることが認められた。附属する手術を行った場合,退院率が低く入院期間が長くなることが認められた。両眼手術に関しては,退院先他施設ダミー,硝子体への手術,その他の手術の推定値は負の値で有意であり,退院率に影響していることが認められた。単眼手術での在院日数が長い病院では両眼手術においても在院日数が長くなる傾向が認められた。1病院を除き,両眼手術の平均在院日数は,単眼手術の場合の2倍以下となった。両眼手術の患者は,単眼手術に比較して年齢が高く,退院先が他施設で割合が低い傾向があることが認められた。さらに,病院の規模が大きく利益率が高いほど,両眼手術の実施率が高い傾向が認められた。

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© 2006 公益財団法人 医療科学研究所
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