2006 年 34 巻 p. 165-173
本研究では, 途上国のCO2排出削減施策の検討の基礎的資料を提供することを目的として, 中国の石炭火力発電部門へ高効率技術を導入した場合のCO2排出削減量とその経済性を, 新たに構築したモデルにより求めた. モデル計算では, 中国の将来発展シナリオを考慮し, 技術導入の時期; 既存設備への改修の有無等の選択による削減効果の比較を行い, また中国の東部・西部の地域間での削減効果の比較も行った. その結果, 今後50年間で技術導入によるCO2総排出削減量は約16%であり, また移転が20年遅れることによりCO2削減量は30-40%減少し, CO2単位削減量当たりの費用も上昇することが示された.