2005 年 17 巻 4 号 p. 175-181
本論文では, 茸の至適生育環境条件を工学の視点から科学的に解明することを目的に, 光の波長がエリンギの生体電位および形態形成に与える影響について調べた.
その結果, エリンギの生体電位反応は青色域の波長の光で大となり, 逆に赤色域の波長の光では小となる傾向を得た. この生体電位応答特性を踏まえて, 各種光源における形態形成を比較したところ, 生体電位反応が大となった青色光下では菌傘の生長が促進され菌柄の伸長が抑制されるといった, 元来自生している場合の形態形成を得た. これより, 生体電位を指標とすることで, 茸に適した環境条件を解明することができると結論した.