環境工学研究論文集
Online ISSN : 1884-829X
Print ISSN : 1341-5115
ISSN-L : 1341-5115
嫌気条件において界面活性剤に曝されたリン除去活性汚泥による有機物の摂取過程
辻 幸志藤田 昌史古米 弘明
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 43 巻 p. 333-342

詳細
抄録

市販の洗剤やLASのみを現場汚泥に添加したリン放出活性試験では, リン濃度とともに汚泥PHA含有率の増加が認められ, 続くリン摂取活性試験では, 明らかなリン濃度の減少が見られた. したがって, 界面活性剤が最終的にPHAとして蓄積されたものと考えられた. 次に, 晴天時における流域終末下水のLAS濃度の変化や嫌気槽汚泥のLAS吸着量を調べ, LASやAEを含む洗剤やLAS単品を用いることにより, 界面活性剤に曝されたことのない実験室汚泥で, 現場汚泥のLAS吸着量を模擬した. そして, リン放出活性試験を行い, 酢酸摂取に及ぼす影響を調べた. 洗剤を添加した場合, 酢酸摂取速度は増加し, +△P/-△Ac値は減少した. 一方, LASを添加した場合, いずれも逆の結果となった. したがって, LASは酢酸摂取の速度やエネルギー効率を低下させるのに対し, AEは逆に作用する可能性が示された.

著者関連情報
© 社団法人 土木学会
前の記事 次の記事
feedback
Top