接着歯学
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アクティブ処理を採用するワンステップ接着システムのう蝕象牙質への接着性
趙 暁華吉山 昌宏
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2006 年 24 巻 3 号 p. 111-119

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抄録

本研究では, ワンステップ接着システムのアクティブ処理がう蝕象牙質への接着性に及ぼす影響を評価する目的で, アクティブ処理を採用するOne-Up Bond F Plus (OB-P) およびアクティブ処理を行わないOne-Up Bond F (OB) を用いて検討した.咬合面う蝕を有するヒト抜去大臼歯を用いて, う蝕検知液で染色した後, 被着象牙質面を作製し, 染色程度の違いにより健全象牙質部, う蝕影響象牙質部およびう蝕感染象牙質部に分類した.OB-PおよびOBを用いて業者指示に従って歯面処理を行い, 接着試料体を作製した.24時間水中保管後連続切片を作製し, 微小引張り接着強さを測定した.また, OB-P, OB処理後の象牙質表面および象牙質接着界面をSEM観察した.その結果, 各種象牙質におけるOB-Pの接着強さはOBより有意に高い値を示した.両システムともに, う蝕感染象牙質およびう蝕影響象牙質への接着強さは健全象牙質より有意に低下した.処理後の象牙質表面および象牙質接着界面のSEM観察では, OBと比較しOB-Pの脱灰能やレジンモノマーの浸透能が向上することが判明した.以上のことから, OB-Pはアクティブ処理によりう蝕象牙質への接着性が向上したことが示唆された.

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