頭頸部癌
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頸部
甲状腺乳頭癌における腺外浸潤の新しい分類法について
杉谷 巌川端 一嘉
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2006 年 32 巻 4 号 p. 510-514

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抄録

腺外浸潤は甲状腺乳頭癌の重要な予後因子の一つであるが,鋭的剥離可能な他臓器浸潤(癒着)は予後に影響しない。甲状腺癌取扱い規約ではこれをEx1として,真の浸潤Ex2と区別してきたが,施設・術者により適用の異同も見られる。今回,反回神経については術前麻痺を認めた症例,気管・食道については粘膜面までの全層浸潤を認めた症例を新たにEx3と定義し,麻痺のなかった反回神経合併切除例,気管表層切除や食道筋層切除により根治の得られた症例をEx2として,予後因子としての有意性について検討した。1993~2004年の初取扱い乳頭癌症例562例(微小癌は除く)中,Ex0が272例,Ex1が149例,Ex2が81例,Ex3が60例で,各群の10年無再発生存率(DFS)は94%,81%,56%,41%,10年疾患特異的生存率(DSS)は99%,94%,91%,65%であった。DFSについてはEx1とEx2の間で有意差を認めたが,DSSについてはEx2とEx3の間で有意差を認めた。Ex3は明解なうえ,乳頭癌の生命予後不良因子として重要であり,現行のEx分類に付加する価値があると考えられた。

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© 2006 日本頭頸部癌学会
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