大気環境学会誌
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実在交差点周辺の沿道大気汚染
風洞実験によるNOx長期平均濃度分布の推定
上原 清林 誠司山尾 幸夫松本 幸雄若松 伸司
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2007 年 42 巻 2 号 p. 93-106

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抄録

自動車排出ガス測定局 (自排局) の大気汚染濃度と、近接する一般環境局における気象観測の結果から沿道大気汚染濃度と気象との関連を調べた。さらに、1/300模型を用いた風洞実験と交通流調査の結果を用いて、自排局を含む交差点一帯のNOx長期平均濃度の時間的空間的な分布状況を調べた。その結果、1) 自排局におけるNOx濃度観測値は、交通量だけでなく時刻または季節に卓越する風向の影響を受けて大きく変化する。2) 風洞実験の結果から推定されたNOx濃度は常時観測値の約1/3.2と過小であったが、推定された自排局NOx濃度の日内変化や年内変化は常時観測値と高い相関を示す。これより各風向条件の風洞実験で得られた濃度分布と実市街地の分布の相似性が、ある程度保たれているものと考えられる、などのことが明らかになった。以上のことに基づいて、3) 常時観測値によって推測値を修正し、交差点周辺市街地の高濃度大気汚染の時間的・空間的な拡がり状況を把握し、自排局における常時観測値の持つ局所性について検討した。

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