第四紀研究
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論説
北海道胆振海岸東部から確認された17世紀の津波堆積物
高清水 康博嵯峨山 積仁科 健二岡 孝雄中村 有吾西村 裕一
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2007 年 46 巻 2 号 p. 119-130

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抄録

北海道胆振海岸東部において,津波災害の履歴を知るために津波堆積物の調査を行った.その結果,地層中に17世紀のイベント堆積物が挟在することが明らかになった.この砂質堆積物は泥炭層に上下を挟まれ,海岸線に沿って平行に分布し,層厚は数cmで海側から陸側へ次第に薄くなって消滅する.内陸側へ約1~2kmの範囲まで分布し,最高で現標高8mの地点まで分布する.粒度組成は,海側では砂質,陸側では泥質になる.層厚は,局所的な地形の起伏にコントロールされ,凹地で厚く堆積している.さらに,海~汽水生の珪藻化石が含まれており,珪藻化石全体に占める海~汽水生の割合は,海側で高く陸側で低くなる.これらの特徴は,このイベント堆積物が津波によって形成されたことを示している.この津波のトリガーは不明だが,今後さらに検討される必要がある.

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© 2007 日本第四紀学会
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