2007 年 104 巻 6 号 p. 829-836
症例は30歳,女性.低血糖発作を契機に膵体部に22mm大の腫瘍を指摘された.精査の結果インスリノーマと診断し腫瘍核出術を行ったが,膵管癌が併存し,周囲組織に浸潤しリンパ節転移もともなっていたため,非治癒切除となった.本例は内分泌腫瘍および外分泌腫瘍が併存しており,膵併存腫瘍と最終診断した.膵併存腫瘍は本邦において1980年以降33例の報告があるのみであり,まれな腫瘍である.一般に本症の術前診断は容易ではないが,膵内分泌腫瘍に比べ予後が不良とされており,慎重な画像診断が求められる.