2007 年 46 巻 2 号 p. 133-142
本研究では,児童が学級集団の中で,友だちの行いを注意しなければならない場面で覚える対面苦手意識(対人場面におけるわずらわしさや不快感,懸念を特徴とする)を取り上げた。本研究の主たる目的は,ソシオメトリック地位により,児童の対面苦手意識が異なるのかを検討することであった。小学校4年生から6年生の児童(男子102名,女子96名)が,児童用対面苦手意識尺度(注意場面版),肯定的ソシオメトリック指名法,パーソナリティ尺度から成る調査票に回答した。ソシオメトリック・テストの肯定的指名件数から,児童の学級集団内地位(スター群,平均群,孤立群)を定めた。分析の結果,スター群は孤立群よりも,児童用対面苦手意識尺度のわずらわしさ得点が有意に低かった。さらに,対面苦手意識は,シャイネスや公的自己意識との間に有意な正の相関があった。