感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
結核菌感染診断用全血インターフエロンγ測定検査の採血から培養開始までの時間と測定値の関係についての検討
福井 基成島川 宏一糸谷 涼石床 学鈴木 進子相原 顕作松本 正孝小熊 毅竹村 昌也鍵岡 均速永 淳
著者情報
ジャーナル フリー

2007 年 81 巻 4 号 p. 421-425

詳細
抄録

患者の全血を2種類の結核菌特異抗原と培養することで産生されるインターフェロンγ量を測定するQuantiFERON TB-2G (以下QFT) の導入で, 結核感染をより正確に診断できるようになった.しかし, 病院外の検査センターでQFTを実施する場合には, 検体輸送に時間がかかる.そこで, QFTの採血から培養開始までの時間 (培養前時間) と測定値の関係について検討を行った.結核感染を強く疑う患者の全血を病院内で採取し, 直ちに検査センターに輸送した.採血して1, 3, 6, 9および12時間後, 分注した全血に各々刺激抗原E (ESAT-6) とC (CFP-10), 陰性および陽性コントロールを滴下し培養を開始した.培養後ELISAで測定した抗原E, Cの培養上清のインターフェロンγ濃度から陰性コントロール値を引いたものを測定値E, Cとし, 0.35IU/mL以上を陽性, 0.10IU/mL未満を陰性, その中間を判定保留とした.今回, 培養前時間が1時間の場合の測定値EまたはCが0.101U/mL以上であった8名の患者について検討を行った.その結果, 培養前時間が6時間を超えると, 1時間の時と比べて測定値E, Cの減衰は顕著となり, 測定値Eでは2例で陽性が判定保留に, 2例で判定保留が陰性になった.測定値Cでは2例で陽性が判定保留か陰性に, 1例で判定保留が陰性に変わった.測定値EとCのうち高値の方で判定しても, 8例中4例で培養前時間によって結果が異なった.以上の結果より, QFTにおいては採血後6時間以内に培養を開始することが望ましいと考えられる.

著者関連情報
© 日本感染症学会
前の記事 次の記事
feedback
Top