AUDIOLOGY JAPAN
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新生児聴覚スクリーニングで発見された聴覚障害児の小学校就学時点での評価
福田 章一郎問田 直美福島 邦博片岡 祐子西崎 和則
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2007 年 50 巻 4 号 p. 254-260

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抄録

新生児聴覚スクリーニングが本邦でも開始され, その評価が待たれている。評価は, 多面的であるべきであるし長期間を要する。新生児聴覚スクリーニングで発見され, 就学時に評価が可能であった聴覚障害児7例の療育効果を検討した。聴能および知的に遅れがみられなかった5例の言語発達は年齢並でなかでも人工内耳装用児4例は特に良好であった。知的境界領域であった1例は, 聴能の発達は良かったが言語発達にはかなりの遅れが認められた。また, 知的には遅れは認められないが, 聴能の発達に遅れが見られた1例も言語発達に大きな遅れが認められた。したがって, 知的あるいは聴能に遅れが認められない場合, スクリーニング後すみやかに診断, 療育が実施され聴覚評価の後人工内耳による療育を行うことが高度難聴児の一つの療育モデルになると考えられる。さらに, 新生児スクリーニングの有効性を確立するためには今後さらに効果的な療育法の検討が必要である。

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