大気環境学会誌
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通風の良いストリートキャニオンに関する風洞実験
上原 清山尾 幸夫老川 進持田 灯
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2007 年 42 巻 5 号 p. 301-309

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抄録

都市の高層・高密度化による風速の低下が, 温熱環境や空気環境悪化の一因と考えられている。それらを改善するために, いわゆる風の道を考慮した街づくりが必要であるとの提言がなされているが, 通風の良い街路や建物配置に対する具体的で有効な指針が示されている訳ではない。そこで, 風洞実験によって, 幹線道路の両側に周囲よりも高い建物が連なるストリートキャニオンの建物高さと配置を幾通りかに変化させながら, 道路内部の流れと濃度分布を測定しストリートキャニオン内の通風状況を調べた。
その結果, ストリートキャニオンに直交する風向条件下では幹線道路を挟む風上と風下の建物を互い違い, 左右一つおきに高くした時, 道路沿いの建物高さが一様な時よりもストリートキャニオン内の鉛直方向風速成分が大幅に増加し, 濃度が低下することが分かった。この時, 風下側の高い建物前面上部から地面に下る強い流れと, 隣り合う風上側の高い建物の背面を上向きに流出する流れが生じ, これらがストリートキャニオン下部でスパン方向の流れを介して連結し, 地上の大気汚染物質を効率よく上方に排気する3次元的な通風経路が形成されることが分かった。

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