Journal of Computer Chemistry, Japan
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総合論文
フラグメント分子軌道法による生体高分子の応用計算
福澤 薫中野 達也加藤 昭史望月 祐志田中 成典
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2007 年 6 巻 3 号 p. 185-198

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抄録

フラグメント分子軌道(FMO)法プログラムABINIT-MPを用いた生体高分子の応用計算の現状をGUIシステムBioSation Viewerの機能とともに紹介する。具体例として、核内受容体とリガンドの相互作用、DNAと転写因子タンパク質との結合などについて、主に転写に関わる分子認識機構を詳細に解析した。フラグメント間相互作用エネルギー、電荷分布、及び軌道相互作用の解析などを通じて、生体高分子の分子認識における各アミノ酸残基の役割や相互作用の様式を明らかにした。またこれらの分子認識には、静電的な相互作用ばかりでなく、分散力に基づくvan der Waals相互作用が重要であることを明らかにし、電子相関を適切に取り入れた量子化学計算が必要となることが具体例を通じて示された。その他にも、光励起特性の解析などの先駆的な研究も進めている。

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© 2007 日本コンピュータ化学会
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