日本薬理学雑誌
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グリア細胞のiNos,ケモカイン発現に関わるNF-κB系活性制御と薬物作用
野村 靖幸上原 孝西屋 禎
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1999 年 114 巻 supplement 号 p. 92-95

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抄録

転写因子NF-κBの活性制御機構を明らかにするために,ラットC6グリオーマ細胞を使用し,細菌内毒素(LPS)/IFNγ刺激に伴う誘導型NO合成酵素(iNOS)発現,およびIL-1β刺激に伴うケモカイン(CINC)発現へのNF-κB活性化(p50·p65·IκBαの複合体よりIκBαを脱離し,活性2量体p50·p65を形成する反応)の関与とその機構を検討した.その結果,優性抑制変異型IκBαを強制発現したC6細胞では,LPS/IFNγによるiNOS発現が抑制されることからNF-κB/IκBαがiNOS発現に重要な役割を果たすこと,またIL-1βによるCINC発現にはNF-κBが深く関わること,さらに一過性のNF-κB活性化にはIκBαのリン酸化,ユビキチン化よりもプロテアソーム活性が関わることが示された.この結果は,脳虚血などのストレスに伴う脳ニューロン死や浮腫の発症に関わるNF-κB活性化系を標的とする新規抗脳梗塞薬の開発に有用な示唆を与えると考えられる.

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