実験社会心理学研究
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原著論文
集団内における迷惑行為の生起及び認知―組織風土・集団アイデンティティによる検討―
尾関 美喜吉田 俊和
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2007 年 47 巻 1 号 p. 26-38

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抄録

本研究では大学生の部活動・サークル集団における迷惑行為の生起及び認知に組織風土と集団アイデンティティが及ぼす影響を検討した。組織風土を集団が管理されている程度である管理性と,集団内で自由に意見や態度を表明しやすい程度である開放性の2側面で構成した。組織風土と迷惑行為の生起頻度との関連を検討したところ,管理性が集団活動に影響を及ぼす迷惑行為の生起を,開放性が集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為の生起を抑制することが示された。また,組織風土と集団アイデンティティが迷惑の認知に及ぼす影響を検討した。この結果,集団活動に影響を及ぼす迷惑行為については,管理性と開放性の両方が高い集団(HH型)の成員は管理性が高く開放性が低い集団(HL型)・管理性が低く開放性が高い集団(LH型)の成員よりも迷惑度を高く認知した。さらに集団アイデンティティの強い成員は集団アイデンティティの弱い成員よりも迷惑度を高く認知した。集団内の人間関係に影響を及ぼす迷惑行為については,組織風土,集団アイデンティティともに迷惑度認知に影響を及ぼさなかった。

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© 2007 日本グループ・ダイナミックス学会
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