2007 年 44 巻 p. 653-659
現在, ブラウンフィールドの問題が深刻化しつつある. 土壌汚染対策法では, 汚染土壌の土壌含有量基準を人の1日当たりの土壌摂食量を用いて算定しており, この量は子供200mg/day, 大人100mg/dayと設定されている. 手指についている土壌粒子などを拭き取り, 拭き取り材からのAl抽出量などによって, 土壌粒子量の推定が可能であることがわかった. 屋外で遊んだ後の子供の手を拭き取り測定した結果, 子供の手指に付着している土壌量は, 50mgであり, 大気経由の土壌粒子摂取量は0.5mgと推定された. この2つの値の和が土壌粒子摂取量のおよその値であると考えると, 現在用いられている1日当たりの土壌摂食量の1/4程度の値となった. 今回の調査結果は, 土壌環境基準の算定で用いられる値の妥当性を示している.