日本臨床麻酔学会誌
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—日本臨床麻酔学会第26回大会 パネルディスカッション—麻酔満足度を考える
麻酔に関する患者アンケート調査より
吉沼 裕美讃井 將満村山 隆紀瀬尾 憲正
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2008 年 28 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

  われわれの施設で手術を受けた2,270名の患者を対象に, 麻酔説明に対する理解度と術前の不安内容, 実際にあった術後の苦痛内容, 麻酔満足度, 麻酔科認識度に関するアンケート調査を行った. 結果は, 回収率43.7%で, 約98%の患者が麻酔科医からの麻酔に関する説明を理解し, 60%がこの説明を受けたことにより“不安軽減が得られた”と答えた. 術前の不安内容として66.5%が“術後疼痛”をあげ, 3割以上の患者が実際に“術後疼痛があった”と答えた. しかしながら, 麻酔に対しては75.4%の患者が“普通”~“満足”と答えており, “不満”と答えた患者は2.7%であった. 麻酔科の“存在・活動”に関する認識度は低かった. 以上より, 麻酔科医による術前説明の重要性, 術後疼痛管理の改善の必要性, 麻酔科の認識度の低さが判明した. 今後, 術前説明による十分なインフォームドコンセントの取得と, 患者の声を積極的に取り入れた麻酔診療活動を展開していくことが, 麻酔診療の質, 患者の麻酔診療に対する満足度, さらには麻酔科医の存在・活動についての認識度の向上につながるものと考えられた.

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© 2008 日本臨床麻酔学会
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