反転を伴うトラッキング動作の学習過程を調べるとともに,被験者の瞳孔径の変化を測定した.反転とは,ジョイスティックの操作方向とカーソルの移動方向との関係が,試行途中で反転することをいう.この課題は,新規の感覚運動変換を学習することを要求する. 12名の健常な被験者には 6つのブロックで学習を行わせた.その結果,トラッキング誤差が減少するという学習効果が認められた.また,反転に伴い散瞳が観測されたが,動作の学習とともに散瞳量も減少していった.しかし,誤差と散瞳量との相関が見られなかったことから,散瞳は単に誤差に対する反応だけで生じたものではなく,むしろ反転への対応に伴う認知的負荷によるものと考えられる.