2006 年 21 巻 p. 175-182
無補強盛土と橋桁を支持する一対のRC橋台からなる従来形式の橋梁は、支承部の維持管理と盛土沈下に加えて、レベルII地震動に対して設計すると過大な構造体となる問題がある。剛な一体壁面工を持つジオシンセティックス補強盛土を橋台とすると、RC壁体と基礎は簡素化できるが橋桁長の制限や支承部の維持管理、小橋台・橋桁系の耐震性に問題が残る。RCの橋台と橋桁が一体化した構造は、構造が簡素化されて支承部がなくなるが、気温の季節変動に伴う橋桁の伸縮による盛土沈下・土圧増加と盛土の耐震性に問題が残る。ジオシンセティックス補強盛土と一体橋梁を組み合わせた新形式橋梁を提案した。従来形式と構造・工程を比較し、新形式では従来形式での諸問題が解消でき特長を生かせることを示した。これら4形式の橋梁モデルを用いて振動台実験を行い、耐震性能と破壊モードを検討し、新形式の橋梁が最も耐震性に優れていることを示した。