皮膚の科学
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症例
日本紅斑熱 -生検組織の免疫染色を行なった1例-
高松 紘子猿喰 浩子池上 隆太
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2008 年 7 巻 2 号 p. 243-248

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抄録

50歳,女性。2006年9月25日から26日に鳥羽・伊勢へ旅行した。10月3日より頭痛,5日より弛張熱あり,6日より皮疹を生じた。顔面および手掌足底を除く全身に米粒大までの辺縁不整の紅色丘疹あり,右上腕の腋窩付近に黒色痂皮が付着した紅色硬結を認めた。体温38.0°C,リンパ節腫脹なし。病理組織学的に刺し口では潰瘍形成と真皮の楔状の変性あり,ばら疹では真皮血管周囲性の軽度小円形細胞浸潤を認めた。塩酸ミノサイクリン200mg/日点滴投与し即日解熱。皮疹は3日間で消失した。日本紅斑熱の血清特異抗体価の上昇を認めた。また,生検組織を対象とした酵素抗体法染色(免疫染色)を行い陽性所見を得た。日本紅斑熱は近年発生数が増加傾向にあるが発生地に偏りがあり,近畿地方では平成17年までの過去5年間で感染患者が発生しているのは兵庫県,和歌山県,三重県のみであった。近畿での発生状況をあわせて報告する。

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© 2008 日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
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