2000年の噴火で森林植生に著しい被害のあった地域に,8箇所の植生調査区と3箇所の植栽試験地を設け,2003-2006年の植生変化と植栽木の成長を調査し,土壌の理化学性の影響について考察した。多量の火山灰が固結した地域では,地表面の火山灰にはN供給力がなく貧栄養であり,草本の侵入が抑制されるため,根粒菌と共生するオオバヤシャブシの成長が旺盛であった。火山灰に厚く覆われた鉱物土壌は,N供給力が高く保たれ,今後の緑化基盤として重要である。火山灰の薄い地域では,鉱物土壌が酸性化し,火山灰層・鉱物土壌層ともにN供給力が低く,ハチジョウススキやユノミネシダが繁茂したため,木本の侵入が遅れていた。