2008 年 23 巻 p. 161-168
インテグラルブリッジの橋台背面盛土を橋台背面に剛結した多数のジオグリッド層で補強した新しい橋梁形式であるGRS 一体橋梁(Geosynthetic-Reinforced Soil Integral bridge)の地震時及び常時安定性は、盛土が無補強であるインテグラルブリッジと比較して非常に高い。GRS 一体橋梁の地震時崩壊が生じる場合は、橋桁とRC 橋台構造物の慣性力によって生じる盛土上部の受働破壊が引き金となり、最終的には橋台下端が主働方向に変位し破壊に至る。したがって、橋台の背面盛土の受働抵抗を増加させると地震時安定性が向上する可能性が高い。本研究では地震時におけるGRS 一体橋梁の背面盛土セメント固化の影響を振動台実験により、インテグラルブリッジの欠点である気温変動による橋桁の熱膨張収縮が橋台背面のセメント改良盛土に与える影響を繰返し載荷模型実験により検証した。その結果、背面盛土をセメント改良することにより盛土は常時・地震時共に安定性が向上した。