2008 年 45 巻 p. 325-331
化学合成樹脂のひとつであるPVAを含有する廃水の効率的な分解を目的とし, 本研究はUASB-DHSシステムを利用した. 水質分析によりPVA含有模擬精練工程廃水の処理特性を, 16SrRNA遺伝子を標的としたクローン解析により, 本システム内に存在する微生物群集構造を調査した. CODcr, およびBOD除去率の結果から, UASBリアクター内は優占的に易分解性有機物が処理されていることが推察され, 後段DHSリアクターでは難分解性であるPVAの分解が選択的に行われると考えられた. またPVAの重合度を調べた結果嫌気環境下でもPVAの解重合が行われていることがわかった. クローン解析の結果UASB汚泥ではBacteroidetes門に属するクローン配列が優占的に検出された. またDHS汚泥からは, PVA分解菌とされるAlcaligenes.sp, Xanthomonas.spが検出された.