環境工学研究論文集
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施設園芸ハウスにおける湛水が亜酸化窒素の生成-放出に及ぼす影響
貞松 篤志藤原 拓大年 邦雄前田 守弘
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2008 年 45 巻 p. 459-466

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抄録

設園芸ハウスにおける湛水が温室効果ガスである亜酸化窒素 (N2O) の生成・放出に及ぼす影響を現地調査に基づき検討した.湛水は地下水水質のみならずN2Oガスフラックスに大きく影響し, これは地表土壌中に蓄積した多量のN2O, NO-3-N, SO2-4などの浸透が原因であると推定された.炭素含有率が高い粘土層を有する地点では地下水中で脱窒が生じ, その結果地下水中の溶存N2O濃度およびNO-3-Nがともに低減することが確認された.また, 地下水中での脱窒時の中間産物として生成するN2Oの寄与は湛水と比較して小さいことも示された.湛水開始から1ヶ月間のN2Oフラックス累積値は, 年間総フラックスの約93%に相当すると推算され, 湛水がN2Oの放出に及ぼす影響は極めて大きいことが明らかになった.

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