園芸学研究
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育種・遺伝資源
ビワ果肉色の遺伝および果肉色に連鎖するRAPDマーカーの同定
福田 伸二吉田 俊雄稗圃 直史佐藤 義彦寺上 伸吾山本 俊哉富永 由紀子根角 博久
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キーワード: 育種, 単一優性遺伝子
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2009 年 8 巻 1 号 p. 7-11

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抄録

ビワの果肉色の遺伝様式を解明するために,32組合せから1,643のF1個体を育成し,果肉色の分離様式を調査した.黄白色タイプの品種同士の交雑後代では,黄白色タイプ個体のみが出現し,橙黄色と黄白色タイプの品種間の交雑後代では,すべてが橙黄色タイプ個体の組合せと橙黄色または,黄白色タイプ個体が1 : 1で出現する組合せが存在した.橙黄色タイプの品種間の交雑後代では,すべてが橙黄色タイプ個体の組合せまたは,橙黄色および黄白色タイプ個体が3 : 1の割合で分離する組合せが存在した.以上の結果から,橙黄色を支配する遺伝子は黄白色を支配する遺伝子に対して優性であることが明らかとなった.橙黄色を支配する遺伝子をCaと命名し,橙黄色タイプ品種はCa/CaもしくはCa/ca,黄白色タイプ品種はca/caの遺伝子型を持つと推定された.バルク法により280種類のオペロンプライマーを供試して,果肉色と連鎖するマーカーの探索を行った結果,‘麗月’ב天草極早生’のF1集団においてCa遺伝子と組換え価0.081(LOD値6.7)で連鎖するRAPDマーカー(OPH-01/1800)を取得した.OPH-01/1800マーカーは,供試した橙黄色品種の78%,黄白色タイプ品種の100%において果肉色タイプと一致し,マーカー選抜による効率的な育種の推進が可能となった.

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© 2009 園芸学会
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