接着歯学
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象牙質接着におけるレジンの親水性の影響
西谷 佳浩高橋 圭林 幸則星加 知宏堀川 元中田 貴田中 久美子佐野 英彦吉山 昌宏
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2008 年 26 巻 2 号 p. 92-98

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抄録

本研究では, 象牙質接着におけるレジンの親水性の影響を解明することを目的として, 溶媒中のHEMAの配合比率が異なるセルフエッチングプライミングシステムを調製し, 接着システム中の親水性モノマーの配合比率が象牙質接着に及ぼす影響について検討した. コンポジットレジンを築盛後, 砂時計型の切片を作製し, 24時間あるいは6カ月後に微小引張り接着試験の試料とした. 24時間後の引張り接着強さは, レジンの親水性モノマーの配合比率が高い場合に, 高い値であった. 一方で, 6カ月後の最も低い値もまた親水性モノマーの配合比率が高い場合であった. 上述のプライマーおよびボンドのレジン硬化体を用いた吸水量および溶解量の測定結果から, 吸水量とHEMAの配合比率には強い相関を認めた. 溶解量の測定結果についても同様の結果が得られた.
以上のことから, レジン中の親水性モノマーの配合比率の増加は短期間の接着強さには効果的であるものの, 親水性モノマーの配合比率が高いレジンは, 6カ月後には重合後の吸水によって重合体が脆弱化し, 接着強さを低下させる可能性が示唆された.

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© 日本接着歯学会
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