接着歯学
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ワンボトルボンディング材“アブソリュート2”を用いた汚染歯質に対する接着
高橋 圭西谷 佳浩星加 知宏田中 久美子吉山 昌宏
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2008 年 26 巻 2 号 p. 99-105

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抄録

近年市販されたワンボトルボンディング材“アブソリュート2”(デンツプライ三金) が, 水分のある歯面に用いながらセルフエッチング機能をもつ特殊なシステムであることに着目し, 人工唾液およびウシ血清によって汚染された歯質に対する接着性について検討を行った. 微小引張り接着試験にはヒト抜去健全小臼歯を用い, 歯頸部頬側面を耐水研磨紙#600まで研磨し, 平坦なエナメル質および象牙質面を被着面とした. また, 歯面に20μlの人工唾液およびウシ血清を滴下し20秒間静止したものをそれぞれの汚染歯質とし, 蒸留水を用いた場合をコントロールとした. さらに, 接着試料体の破断面ならびに接着界面および歯面処理被着面について微細構造観察を行った.
すべての群間において接着強さに有意差はなく, さらに接着界面の形態的な違いも認めなかった. 破断面形態は, エナメル質ではレジン凝集破壊と混合破壊が, 象牙質では象牙質凝集破壊と混合破壊が主に観察された.
以上のことから, エナメル質および象牙質いずれの場合も24時間後のアブソリュート2の接着強さは, 人工唾液およびウシ血清による汚染の影響を受けにくく, 汚染環境下でも安定した接着性が期待できることが示唆された.

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