日本気管食道科学会会報
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原著
甲状腺乳頭癌気管浸潤症例に対する気管表層切除術
塚原 清彰杉谷 巌川端 一嘉
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2009 年 60 巻 1 号 p. 23-27

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抄録

甲状腺乳頭癌の甲状腺外他臓器浸潤は重要な予後不良因子の一つである。われわれは気管浸潤が肉眼的に気管粘膜面に達しない場合は気管表層切除(以下シェービング)を行っている。気管シェービングを行った症例での局所制御率,遠隔転移率,生存率についてretrospectiveに検討した。
対象は1994年1月から2005年12月の間に癌研病院頭頸科で気管シェービングを行った甲状腺乳頭癌22例である。
22例中21例(95%)で局所制御されていた。22例中6例(27%)に遠隔転移を認めた。5年生存率93%,10年生存率41%で,現在2例が担癌生存中である。
気管シェービングは気管全層切除に比べ術後の患者QOLが高く,気管粘膜面に達しない浸潤であれば局所制御良好であった。しかしながら気管浸潤のない甲状腺乳頭癌に比べると遠隔転移の合併が多く,気管以外の臓器への浸潤も少なくないため高危険度リスク群に該当する症例が多い。特に遠隔再発に注意して慎重に経過観察する必要があると考えられる。

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