心電図
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第25回 日本心電学会学術集会 学術諮問委員会提言シンポジウム
重症心室不整脈に対するリドカイン,ニフェカラント,アミオダロン静注薬の位置づけ
ニフェカラント静注薬の利点と欠点
栗田 隆志野田 崇岡村 英夫里見 和浩清水 渉須山 和弘相原 直彦鎌倉 史郎安田 聡
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2009 年 29 巻 1 号 p. 10-17

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抄録

ニフェカラント静注薬は我が国で開発された唯一の純粋なIKrチャネル遮断薬であり,重症心室不整脈に対する高い抑制効果が示されている.特に急性冠症候群など冠動脈疾患に合併した難治性の心室頻拍・心室細動(VT/VF)に対しては,8割を超える患者において有効性が示された.また,拡張型心筋症など慢性的な病変によるVT/VFに対する効果は若干劣るものの,6割を超える効果が確認された.ニフェカラントに残された最大の問題は,過剰なQT延長によるtorsade de pointesの誘発であろう.この合併症を避けるためには推奨されているよりも少ない量(loadingは0.15~0.2mg/kg,維持量は0.2mg/kg/時)から投与を開始し,モニター心電図による継続した監視と12誘導心電図でのQT時間の観察が必須である.同薬剤の中止または減量の目安はQTc時間が550msecを超えた場合と考えられる.また,アミオダロン静注薬との使い分けや,経口薬への移行などについては今後に残された課題である.

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© 2009 一般社団法人日本不整脈心電学会
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