廃棄物学会論文誌
Online ISSN : 1883-163X
Print ISSN : 1883-1648
ISSN-L : 1883-1648
論文
飛灰等の粉粒体による排ガス中の水銀除去に関する基礎的研究
高岡 昌輝武田 信生岡島 重伸
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 6 巻 6 号 p. 235-244

詳細
抄録

ごみ焼却炉排ガス中の水銀はバグフィルターによって除去されうるが, その除去機構はいまだ明確ではない。本研究では, 乾式フィルター層ではどのような因子が水銀除去に重要であるかを, 飛灰焼成飛灰活性炭を用いて詳細な基礎実験を行った。飛灰においては未燃炭素含有量, 温度といった因子が, また焼成飛灰に活性炭を添加した場合には活性炭の混合割合, 温度, 塩化水素濃度といった因子が水銀除去に大きな影響を及ぼすことがわかった。さらに, X線回折分析から粉粒体中での水銀の形態は塩化第一水銀と推定された。これらの実験結果から, 水銀は粉粒体中で吸着還元反応と, それに続く還元脱着反応の二段階の反応が生じていると仮定し, モデル化を行った。その結果, 還元脱着反応の反応速度定数が吸着還元反応の反応速度定数に比べて非常に小さく, 実験で観察された現象が説明できた。乾式フィルター層での水銀除去機構は化学反応を伴った吸着であるといえる。

著者関連情報
© 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
前の記事 次の記事
feedback
Top