理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
原著
安定期にある多発筋炎患者のクレアチンキナーゼと3項目総和筋力の推移
佐々木 賢太郎千田 益生太田 晴之堅山 佳美
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2009 年 24 巻 3 号 p. 439-443

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抄録

〔目的〕先行研究において,急性期の筋炎患者の筋力評価として有用性を示した3項目総和筋力(sum)が,CK値が正常化した安定期においても有用であるかを検討するため,30週間以上にわたって筋力と病勢を反映するクレアチンキナーゼ(CK)の推移を,プレドニン(PSL)内服量とともに追跡し,それらの関連性を検討することを目的とした。〔対象〕女性5症例(36.2±12.7 歳)であった。〔方法〕筋力測定は徒手筋力計を用い,頸部屈曲筋力(HU),肩関節外転筋力,下肢伸展挙上筋力の3項目の筋力を測定した。同時にCK測定とPSL投与量を評価した。〔結果〕3項目の総和した筋力(sum)は,5例中4例においてCK値と負の相関関係を認めたが,その相関係数は低値であった。単一筋力ではHU筋力が最も多くの症例においてCKと相関を認めた。PSL内服量との関係においても,sumは5例中3例において負の相関を認めたのに対し,HUは4例において有意な負の相関が認められた。〔結語〕安定期においても,PM患者のsumはCKをある程度反映し得るが,急性期ほどの有用性は示されなかった。安定期PM患者を長期に追跡する場合,HU単一筋力の測定でも病勢や投薬の影響を把握し得る可能性が示唆された。

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© 2009 by the Society of Physical Therapy Science
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