2009 年 20 巻 6 号 p. 338-344
論文の読み方(批判的吟味critical appraisal)は研究を行う上で基本的な技術であり,最近ではEBMの実践にあたり臨床医にも求められる能力になっている。論文を読むことを苦手とする臨床医は非常に多いが,筆者らは疫学の基本的知識と論文の書き方について勉強することが,論文を読む技術を習得する一番の近道ではないかと考えている。疫学の基本的知識としては,曝露(治療)のアウトカムへの影響を定量的に推定するために必要な疫学指標と効果指標についての理解,バイアスを考えるのに必要な研究デザインについての理解が非常に重要である。一方,論文の読み方に関しては,論文の段落構造を理解し,段落ごとに読んでいく「パラグラフリーディング」が行えるようになれば,論文を読む効率は飛躍的に向上する。そして,論文の書き方に関する各種ガイドラインを参考にしながら,論文を読んでいくことは一番のトレーニングである。