日本緑化工学会誌
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論文
異なる光条件下で生育させたケネザサ(Pleioblastus pubescens Nakai)の稈と葉の諸特性の季節変化
阿拉 坦花坂本 圭児三木 直子廣部 宗吉川 賢
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2008 年 34 巻 3 号 p. 524-533

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抄録

ケネザサを異なる光条件で地下茎から生育させ,稈数と葉数の季節変化,褐変度,および葉の形態を調べた。稈の発生と生残では,分げつ稈を含めれば明るい処理区のほうが,稈の発生期間が長く,積算発生数が多い傾向があった。稈の枯死数は,1% 区で特に多かった。明るい処理区ほど伸長終了時期の稈の生残数が多い傾向がみられた。稈の伸長成長では,明るい処理区ほど伸長速度が遅く,伸長終了後の稈の長さが短い傾向があった。したがって,明るい環境では稈の数を増やし水平方向に広がるように,暗い環境では稈のサイズを大きくして垂直方向に伸びるように成長し,それぞれ異なる侵入と優占の仕方で群落を発達させると考えられる。葉群動態では,明るい処理区ほど葉が早く褐変し,落葉が早かった。明るい処理区では,葉の寿命は短いが,稈の発生期間が長いために,葉の展葉期間が長いことによって葉群を維持し,暗い処理区では,葉の展葉期間は短いが,葉の寿命が長いことによって葉群を維持することが示唆された。葉の形態からは,明るい処理区ほど葉面積が小さく厚い陽葉的な葉をつけると考えられた。

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