可視化情報学会論文集
Online ISSN : 1346-5260
ISSN-L : 1346-5252
酸素感応色素を用いた混合流路内酸素濃度分布の計測
第2報 流路形状が臨界Reynolds数に与える影響
松田 佑林田 将也長島 史裕山口 浩樹新美 智秀
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2009 年 29 巻 10 号 p. 51-57

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抄録

近年,μ-TASやマイクロリアクターなどのマイクロデバイスや燃料電池が急速に進歩している.これらの高効率化のためには,機器内部で反応に関与している酸素濃度分布の挙動を詳細に理解することが必要である.現在一般に用いられているガルバニックセル式等の酸素センサーは,センサー部がcmオーダーの大きさであること,応答時間が数secのオーダーであるため,微小な流路内の非定常に変化する酸素分布の計測を行うことは極めて困難である.そこで本研究では,光学的圧力分布計測法として用いられている感圧塗料(PSP: Pressure Sensitive Paint)に着目した.PSPは酸素濃度分布計測が可能であり,また応答時間もミリ秒オーダーである.PSPを用いた酸素濃度計測の例として,第1報と同様の混合流路内での酸素濃度分布計測を行った.混合流路内の流動様式は,Re数の増加にともない定常から非定常(振動及びカオス的運動)に変化していくことが知られているが,過去の研究では流れ場を2次元的に扱い,解析したものがほとんどである.そこで本研究では流路の3次元形状が流動様式に与える影響を調査した.その結果,流動様式が定常から非定常に遷移する臨界Re数は,流路長さではなく流路深さに依存することを明らかにした.

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© 2009 by the Visualization Society of Japan
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