日本救急医学会雑誌
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臨床医のための疫学シリーズ:地域中核病院で行う臨床研究
第5回 臨床研究における統計学の役割(疫学各論4)
小松 裕和鈴木 越治土居 弘幸
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2009 年 20 巻 10 号 p. 851-859

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抄録

臨床研究に必要な統計的知識としては,基本属性の比較を行うにあたって「どの場合にどの検定を用いればよいか」がまず整理できることと,「交絡要因の調整」に用いられる多変量解析としてロジスティック回帰分析を理解することが基本となる。そして,臨床研究では生存期間をアウトカムとして用いる研究が多いことから,生存解析についての知識を習得することも必要である。基本属性の比較にあたっては,各種変数が「連続量変数」か「カテゴリー変数」か理解し,「2グループ」で比較するのか「3グループ以上」で比較するかによって用いる検定を決定する。ロジスティック回帰分析はアウトカムが二値の場合に用いられることが多く,曝露の影響をオッズ比として推定することができる。一方,生存解析で用いるCox比例ハザードモデルでは曝露の影響をハザード比として推定することができる。忙しい臨床のなかで臨床研究の知識を身につけるには,「疫学をしっかりと勉強してから,必要な統計的知識を増やしていくこと」が効率的であろう。

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© 2009 日本救急医学会
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